『emergence』x Rin Kataoka volume 1
子供のころは、大人に憧れていた。
自分が未知なる存在へ刻一刻と近づく感覚に、どこか不安を覚えていた。
しかし、どうだろう。いざ「大人と呼ばれる存在」になってしまえば、あの頃から変わったのは、姿形だけであると気がつく。
その掴みどころのない名を背負いはじめたのは、いつからだろう。
大人とは。
それはきっと、揺らぎ。
寄せては返す波のように、人は大人と子供の間を絶えず往来する。
幼き日々の思い出を指先でなぞり、私たちは、長い夢を見ている。